ビートの上でボーカルをミックスする方法

ビートの上でボーカルをミックスする方法を学ぶのは、決まった順番で下す3つの判断に尽きる。声をどれくらい前に出すか、どの周波数帯を声のものにするか、インストがどれだけ場所を空けてくれるか。この3つを付属のプラグインで正しく決めれば、テイクは仕上がって聞こえる。飛ばせば、どんなに高いチェーンでも救えない。ここではどのDAWでも機能する最初のチェーンと、ビートが声と戦うときに場所を作る2つの方法、そしてこの仕事のうちインストがすでに済ませてくれている部分を書く。
先に片づけておきたいことがひとつある。真ん中に穴を空けてアレンジされたインストのほうが、ミックスは簡単だ。1小節目から密度の壁になっているビートは、混ぜる場所を残していない。
プラグインを開く前に音量を決める
すべてのフェーダーを下げて、ドラムを中心にではなくボーカルを中心にバランスを組み直す。バース部分の4小節をループして、こう進める。
- まずボーカル。力を入れずに言葉が楽に聞こえるまで上げて、そこで止める。初心者のミックスで一番多いのは、もともと大きすぎるビートの下に埋もれたボーカルだ。
- 次にビート。ドラムと声が1本のレコードに聞こえるまでインストを上げ、スマホのスピーカーと悪いヘッドホンでバランスを確認する。そこで言葉が残るなら、どこでも残る。
- 最後にヘッドルーム。マスターのピークは-6 dBFSあたりに保ち、ミックスが終わるまでリミッターは引き出しにしまっておく。大きすぎるラフミックスは後から直せない。
チェーン、順番どおりに
機材より順番が大事だ。6つの手順で、どれも付属のプラグインで足りる。
- きれいにする。要らない息をゲートか編集で消し、行間の無音を詰める。あとでかけるコンプレッションは、残したものを全部持ち上げてしまう。
- 引き算のEQ。ボーカルを80〜100Hzでハイパスし、200〜500Hzのこもるあたりを見つけて数dB削る。属さないものを削ると、後のすべての工程がよく効く。
- コンプレッション。一番大きい行で3〜6dBのゲインリダクションを狙い、アタックは中くらいにして子音を残す。強い1段より、穏やかな2段のほうが必ず勝つ。
- 音色のEQ。2〜5kHzのプレゼンスが言葉の読める場所で、10kHz以上のシェルフは耳に痛くならずに空気を足す。
- ディエッサー。サ行は上の工程すべてで大きくなるので、高域全体を下げるのではなく、ここでSの音を抑える。
- 空間はセンドで。声用の短いルームとスラップディレイを1つずつ、どちらもセンドに置いてドライの信号を保つ。インサートにリバーブを挿すとミックスが水浸しになり、言葉が隠れる。
ビートが忙しいときに場所を作る
方法は2つで、ほとんどの曲は両方使う。ひとつは削ること。ボーカルが住む場所、たいてい1〜4kHzを見つけ、同じ帯域のインストを数dB削る。声は音量を上げずに輪郭を得る。もうひとつはサイドチェインのダッキング。ビートを専用のバスに送り、ボーカルで2〜3dBだけ沈ませる。インストが行のために一歩下がり、行のあいだに戻る。FL StudioではビートのチャンネルにPeak Controllerを挿し、ボーカルをサイドチェインの入力にするのが普通のやり方で、他のDAWにも同じものがある。
3つ目の道具は音量のオートメーションで、一番使われていない。イントロとフックでビートを手で下げるのは10分の仕事で、どんなダッキングより音楽的に聞こえる。
ビートがすでに済ませてくれていること
よく組まれたインストは、始める前にこれらの問いの半分に答えている。フックの下で抜け、バースの下で薄くなり、中低域を声に譲る。Wifeyのような、滑らかなR&B寄りのtrapインストでは、パッドが広く座り、真ん中はわざと空けてある。だからボーカルは戦わずにミックスへ滑り込む。曲のために作られたビートと、ドラムを載せたループの違いはそこだ。ミックスがいつも混み合うなら、直すべきはたいていプラグインではなくインストの選択だ。R&Bとメロディックのセクションを聴けば、ボーカルに優しいビートがどれだけ場所を残すかが一番速く分かる。
よくある質問
ビートの上でボーカルをミックスするには?
まずボーカルの音量を決め、きれいにしてハイパスをかけ、穏やかに圧縮し、プレゼンスと空気を足し、ディエッサーをかけ、センドで短いリバーブを使う。そのあとボーカルの帯域をビートから数dB削るか、声の下でビートを少し沈ませる。
ビートとボーカル、どちらを先にミックスする?
ボーカルだ。ビートは声のための寝床で、その逆ではない。すでに望む位置に座っているボーカルのまわりでインストを整えれば、ドラムを鳴らすために言葉を埋める必要は一度も生まれない。
ビートの上のボーカルはどれくらいの音量がいい?
聴き手が一語のために耳を澄ませない程度に大きく、ドラムがリズムをリードできる程度に小さい。スマホのスピーカーで試して、そこで言葉が明瞭なら音量は正しい。
無料でボーカルをミックスできる?
できる。BandLab、GarageBand、主要DAWの無料版で、上のすべての工程が付属の道具でこなせる。有料プラグインが変えるのはミックスの味で、機能するかどうかではない。
カタログのインストはどれもボーカルを想定してアレンジされ、ミックスされている。選択肢はすべてインストのページにある。

