サンプルライブラリの整理法:探せる状態をつくる

サンプルライブラリは数ギガを超えたところで使えなくなる。あのキックがあるのは分かっているし、頭の中では鳴っているのに、「新しいフォルダ (3)」というフォルダを二十分クリックして探すことになる。そこでまたパックを買い、ライブラリは大きくなり、問題は悪くなる。
サンプルの整理は保管ではなく検索の問題だ。目標は完璧なフォルダツリーではなく、ブラウザを開いて二語打てば、合う六つの音が出てくること。十五秒で音が見つからないなら、そのライブラリは整理されていない。見た目がどうであれ、これが判断基準になる。
ファイルを動かす前にルールを決める
最上位の分け方を一つだけ選び、決して破らない。何年もパックを落とし続けても耐えるのは、先に種類、次に入手元という形だ。ドラム、ループ、ワンショット、ボーカル、録音。その中にパック名かレコード名を置く。階層は二つまで。思い出せないパスは使わないパスだ。
ジャンルではなく種類で分ける理由は、同じパックが今週はブームバップ、来週はローファイ・トラップになり得るからで、ジャンルのフォルダは選ばせてしまう。種類は変わらない。ムードとジャンルはタグに入れる。タグなら一つの音を複数の場所に置ける。
- 音の種類ごとに一つのコレクション:ドラム、ループ、ワンショット、ボーカル、録音
- その中にパックや入手元ごとのフォルダを一つ、届いたときの名前のまま
- その他、未分類、新しいフォルダという名前のフォルダは作らない。居場所のない音は残さない
- まだ分類していない音は日付付きの受信箱フォルダへ。このフォルダは毎月空にする
検索する言葉でファイルを名付ける
多くのパックは 05_Kick_03.wav のような名前で届き、音の性格が何も分からない。残すと決めたサンプルは、四つの項目を決まった順で名前にする。楽器、入手元、テンポかキーがあればそれ、そして性格を表す短い語。Kick_Tape_Dusty、Snare_Rim_Tight、Loop_Rhodes_90_Cmin のように。
アンダースコアで区切り、空白は入れない。ブラウザも DAW も OS の検索も同じように扱うからだ。ループならテンポが最もよく絞り込む項目なので、名前に置く価値がある。ワンショットには要らない。ライセンスやクレジットを後からたどる日のために、元の名前はパックのフォルダに残しておく。
実際に口にする言葉だけをタグにする
タグは説明ではなく、打ち込む言葉だ。ダスティ、ウォーム、アグレッシブ、切ない、ビニール、クリーン、教会、ダーク。一ファイルに二つか三つ、ライブラリの隣に置いたテキストファイルの閉じたリストから選ぶ。リストを開いたままにすると、半年後には moody、mood、moody2、moodyish が並び、どれも頭の中の音を連れてきてくれない。
閉じたリストはタグのソフトより大事だ。管理アプリでも DAW のブラウザでも表計算でもいいが、どこでも同じ語彙を使う。道具を乗り換える日に持ち越せるのはタグだけだからだ。
何より先に重複を消す
何年も育てたライブラリの半分は、三つのバンドル由来の同じ 808 が三つの名前で入っている。まず重複を消す。そうしないと同じファイルに二回タグを付け、検索結果で二回鳴ることになる。ビットレートの高いほうを残して、残りは削除する。
macOS や Linux なら内容のハッシュを比べる道具が一往復で片づける。Windows なら名前ではなくバイトを見る重複検索ツールで足りる。消したものはメモに残す。いつかクライアントが持っていない音を頼んでくるし、どこへ行ったと言うほうが、存在しなかったふりをするより楽だ。
ディスクは一つ、バックアップは逆向きに
ライブラリは SSD 一つに置き、パスは暗記して打てる長さにする。二台目のディスクにはコピーを持たせる。増える一方のライブラリなら週一の同期で足りる。ただし同期は一方向にし、空のフォルダでコピーを上書きしないこと。
サンプルのコレクションは買い直せない。パックはストアから消え、無料配布はなくなり、自分で録った音はネットのどこにもない。同じマシン上のコピーはバックアップではなく、先送りにすぎない。
見に行くのではなく検索する
どの DAW にも検索欄つきのブラウザがあり、ほとんど誰も打ち込まない。FL Studio、Ableton、Logic、Studio One は指定したフォルダをサブフォルダまで索引する。ライブラリのルートを追加し、名前に使った言葉で検索バーから探す。ダスティなキック、リムのスネア、ローズのループ。
保存した検索は誰も使わず、誰もが必要とする部分だ。ダスティなドラム用、百未満のループ用、教会という語を含む音用。保存した検索は自分で最新を保つフォルダで、一年後も正確な唯一のフォルダだ。
Splice や Loopcloud のような配信型ライブラリは中身にすでにタグが付いているので、規律は別になる。テストを通ったものだけ落とし、残りはデスクトップから消す。一度も開かなかった千の音は、開いた千の音と同じ注意力を食う。ループをプロジェクトに持ち込むときの切り方はサンプリングのやり方にまとめてある。
散らかりを戻さない十分間の習慣
ライブラリの整理は週末の作業ではなく習慣だ。セッションの終わりに、残したファイルを名前ごとフォルダに戻し、未分類は受信箱に置いて DAW を閉じる。
月に一度、受信箱を空にし、重複チェックを回し、いつも問題を起こす名前を検索する。たとえば「名称未設定」や「Audio 1」や「final_final」だ。
音が曲にならなければ意味がない。Chase The Dollar は切り刻んだレコードが曲全体を運ぶサンプリングのオールドスクール・ビートで、正しい二小節が一時間ではなく一分で見つかるときに生まれるタイプのフリップだ。ループの上にどれだけ少ない音しか乗っていないかを聴いてほしい。
サンプリングのビートが自分の道なら、カタログのブームバップのインストゥルメンタルは、ライブラリにあるべき形で絞り込んである。ワンクリックで正しいスタイル、スクロールは要らない。ビートカタログは作業中ずっと無料で聴ける。
よくある質問
サンプルはジャンル別と楽器別のどちらで整理すべき?
楽器別にして、ジャンルはタグに入れる。楽器は変わらずジャンルは変わるので、ドラムのフォルダはスタイルが変わっても生き残り、トラップのフォルダは別のものを作った瞬間に嘘になる。
大きなライブラリの整理にはどれくらいかかる?
百ギガの最初の一往復は週末がかりで、大半は重複チェックに消える。その後はセッションの終わりの十分間で足りる。一度で完璧にやろうとするから、ほとんどのライブラリは散らかったままになる。
サンプル管理アプリは必要?
必須ではない。検索と保存した検索がある DAW のブラウザで九割は片づく。ライブラリが複数のディスクにまたがるときや、DAW を変えても残るタグが要るときに専用の管理アプリが効いてくる。
使わないサンプルは削除していい?
いいが、消すのはコピーだけ。重複と一度も開いていないパックを消し、買ったパックはアーカイブ用のディスクに残す。容量は安いが、注意力は安くない。

